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SDGs-15、陸の豊かさも守ろう【連載|高校生が現代を考える#21】

 持続可能な社会、地球を未来に残すための目標を定めたSDGs。この連載では、17回にわたってその17の目標をひとつひとつ読み解き、向き合っていきたいと思います。現代人によって生み出された多くの問題を解決する責任は全ての人にあります。未来の世代に少しでもよい地球を残すため、ぜひ、当事者の一人として、自分にできることを考えつつ読んでいただけたらと思います。


【連載|高校生が現代を考える】SDGs編 Back Number
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 さて、今回のテーマはSDGsの15番目の目標である「陸の豊かさも守ろう」です。前回のテーマであるSDGsの14番目の目標「海の豊かさを守ろう」に続いたような形となりますね。割合で見て広大な海と比べて陸地は地球の表面の約3割にとどまります。しかし、その陸地も人間一人ひとりにとっては大きすぎる存在であり、また、現在地球上に暮らす70億人以上の人が陸上で生活しているわけです。私たちの住みかである陸地の豊かさを守るためにどうすればよいのか、今回は考えていきたいと思います。

大陸の現状とは

 陸上で現在発生している課題はたくさんありますが、いくつか挙げてみたいと思います。例えば耕作地の損失の問題です。現在、歴史上のペースから比べて30倍から35倍の速さで耕作地が失われているようです。また、干ばつや砂漠化も年々深刻化しており、全世界で12,000,000ヘクタールの農地が毎年消失しています。砂漠化は、現在の日本でその影響が感じられないように、発生している場所は発展途上国という場合が少なくありません。貧しい国々は、世界的な環境問題の影響を正面から受けているわけです。他にも、森林伐採などが、大地の環境問題としてよく知られています。

 また、人間だけでなく、他の様々な生物が暮らす地球という側面からみても大きな影響が発生しています。現在、地球上では8000を超える数の動物種が確認されていますが、そのうち、8%は絶滅し、22%は絶滅の危機に瀕しています。この状況を改善するためには、1年間に兆単位のお金が必要になります。

 これは、よく訴えられていることではありますが、人間のここ数百年間の営みだけで、地球の46億年もの均衡を脅かし、種々の生物がこの世の中を跡にしかねないのです。もともと、自然の摂理として、物事が均衡を保つように調整されるという機能があります。例えば、食物連鎖で考えてみましょう。

 地球上の食物連鎖は、僕らの目に入る範囲では、自らで光合成により養分をつくり出すことのできる植物に始まり、その植物を草食動物が食べ、その草食動物を肉食動物が食べ、また次の段階、と続いていくわけです。これに加えて、食物連鎖の頂点に君臨している動物であっても、その命に寿命が来れば、微生物がその身体を徐々に分解していくことで、土に還ったり、海の中に還ったりとして食物連鎖の循環が成り立っています。

 ここで、シマウマが何らかの原因によって急激にその個体数を増やしたとします。すると、どうなるでしょうか。もちろん、シマウマが食べる草は、食べる側のシマウマの数が増えるわけですので個体数は減少していきます。また、そのシマウマを食べているライオンは、食べ物が増えるので、個体数は増加していきます。ここで、草がたくさん食べられてしまうと、シマウマはいずれ食べ物にありつけなくなってしまいます。なぜなら、シマウマが増えたからといって、草の方もそれに合わせて個体数を増減させる仕組みは自然にはないからです。すると、食べる方のシマウマは増えたのに、食べられる方の草は減り、食べ物がなくなったシマウマは減少局面に入り、徐々にもとの個体数に落ち着いていくわけです。これこそが自然の摂理だといえるでしょう。自然界を最も運営しやすいように、彼らは言語を持たずとも共鳴し、均衡を保ってしまうわけです。とても不思議な話だなと感じずにはいられません。

 しかし、人間は、自らの手で植物を栽培し、家畜を飼育するようになりました。言わば、人間に食べられる方の個体数を自らの手で調節できるようになったわけです。実際に、農業においても大量生産が普通に行われていますし、野生生物の乱獲などという問題も発生しています。人間が無理やり山を切り拓いて畑を作れば、居場所の減った鹿やイノシシ、猿などの野生動物が山に降りてくるのは当然でしょう。それなのに、彼らは人間に害獣として扱われてしまいます。乱獲により、絶滅した動植物の例も少なくありません。外来種の侵入で、その土地の自然の均衡が保てずに、環境が激変したり、生物が絶滅することさえもあります。

 現在、絶滅の危機にある動植物を保存すべく、数多くの人や団体が積極的に活動されていますが、本来であれば、そのような活動なくしてもすべての生物が存続できるような環境が求められているのではないでしょうか。従来より指摘されているように、人間の直近数年間の存続のために、目先の利益を追求するあまり、我々自身の長期的な存続性が失われてしまっている可能性があります。これは、前回の記事で取り上げたプラスチックゴミの問題のように、人間の営みが生んだ様々な問題がめぐりめぐって人間にのしかかるという状況をみれば自明であり、不安が募ります。しかし、現代を生きる私たちには、現在科学がどれほど発達しているかという全体性を知ることができないほどに科学が発達しているという一種の安全材料があります。今後も科学は発展すると考えられ、故に、未来のある時点では現在発生している諸問題が解決されるだろうという楽観論に立てるわけです。

 ただ、問題の悪化はますます進行していくばかりで、1年後、2年後、10年後、50年後には人間が計り知れないほどに地球の状態が危うくなっているかもしれません。ですので、今、私たちが状況の悪化を食い止めるだけでも、課題解決に貢献しなければならないのです。それでは実際に、大地の豊かさを守るための解決策を考えていきましょう。

大地を豊かに保つ

 冒頭に取り上げたように、地球上の大地は、砂漠化が進行し、また、人間による森林の伐採により豊かさを失いつつあります。これは、その土地に住む生き物の住処を奪ってしまう行為でもあります。では、どのようにすれば、これ以上地球上の土地が砂漠に変わらずに済むのでしょうか。

 土地の砂漠化の原因は、様々で、森林伐採もその一つでありますし、土地を無理矢理耕作することも、土地で過度に放牧を行うこともその原因になります。これでは、砂漠化で土地が失われてしまい、まだ利用できる土地で無理に作物を育て、それが原因でまたその土地が砂漠化してしまうという悪循環に陥りかねません。また、この砂漠化は、その多くが主にアフリカなどの発展途上国で発生している問題です。そこで、私たちにできるこの問題の解決策としては、積極的にフェアトレードの商品を選択するということではないでしょうか。

 やはり、国際的な製品の流通の過程で、発展途上国に多い、第一次産業従事者は取引の場で不利な状況に置かれやすく、ゆえに、安いからできるだけたくさん作るしかないという論理が働いてしまいます。そこで私たちが、彼らにとってより公平で、安定した取引のもとで供給されるフェアトレードの製品を選択することで、土地を無理に利用する事は減少するのではないかと考えます。さらにこれは、学校に通えない子供たちが、長時間家のために労働する必要性がなくなっていくので、貧困や教育の課題も解決へと向かいます。私たちにとっては、少々高い買い物になるかもしれませんが、ときには目に見えない誰かのために、そのような消費行動も必要なのかもしれません。

生物多様性の問題

 今回のSDGsの課題である「陸の豊かさも守ろう」では、主に9個のターゲットが定められています。

 その第9番目は、「生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。」となっています。陸の豊かさの問題は、生物多様性の問題でもあるという国連のメッセージなのだと僕は考えました。他のターゲットでも、外来種の侵入の予防や密猟の禁止、野生生物の利用に関する項目や遺伝資源の活用に関する項目など、生物多様性を取り上げた側面が大きいのが今回のゴールの特徴でもあると思います。

 現在、メダカやニホンウナギなどの絶滅が危ぶまれています。しかし、それ以前に人間が過剰に土地を開発していたことで、その土地の生態系が崩れてしまい、生物多様性が失われてしまっているのです。先ほど挙げたターゲットには、生物多様性の保全と、生物の永続的な利用のために予算を注ぎ込むように書いてあります。確かに、お金を使えばこの問題は解決するかもしれませんが、それでは根本的な解決には至らないのではないでしょうか。

 僕は、田舎で育ちました。小学生の頃には、山で遊び、ときにはおばあちゃんについていき、畑や山で農作業を手伝うこともありました。成長するにつれて、時間がなくなったこともあり、農作業の手伝いをする機会はめっぽう減り、また僕の遊び場もより街の方へシフトしていったわけです。しかし、社会を広く見ると、土の匂いも知らずに大人になる人だって数多くいます。僕が指摘したいのは、その人たちの育ち方ではなく、やはり現代の街がアスファルトに包まれているという、いかにも近代的であり、でもどこか殺風景な風景が思想的な面で生物多様性を損なってしまったのではないか、ということです。ここ数年、都会の街にもイノシシやサルなどが出没する事例が数多くあり、そのたびにニュースに取り上げられて話題になっていますが、別にイノシシやサルの住む場所が山に限られているわけではなく、彼らだってやって来たくて真っ昼間から街に出没しているわけではないでしょう。マスメディアは、彼らにもし出会ってしまったら、どのような行動をとればいいのかという一点に着目し、我々の被害を最小限に抑えるべく報道の責任を果たしていますが、もっと別の場所に議論が向かっても良いのではないかと思います。私たちの、マジョリティーとしての思想は、マスメディアに左右されることが多々あります。どれだけ多くの人が、メディアリテラシーを身に付けて、自らが社会問題についてどう向き合っていくのかという点が、どれだけの課題を解決できるかに深く関与しているのではないかと思います。

 祖父母が田舎に住んでいるケースや山村留学などの取り組みも少なくなく、成長する過程で自然に触れる機会は数多く用意されているかもしれません。ただ、そのような接し方では、自然が子供たちの住む場所から遠く離れたところに定義されかねません。自然は会いにいかなければ会えないものだと思われる可能性があるということです。工業化がより一層発展していくであろう社会で、もっと原点にあるものの価値を再考し、どう子供たちに伝えていくのかを熟考していく中で、陸の豊かさを維持できれば良いなと思います。

(文責:NGT @ngt_nanoka)

画像引用元:
外務省『持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組』PDFよりhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf (2020.08.05)

参考文献:
『持続可能な開発目標・SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」のターゲットや現状は?』https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/life_on_land_sdgs/

 

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