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才能とは「差分が見えること」である 〜株式会社TimeLeap 仁禮彩香代表取締役 インタビュー ① 〜

 文部科学省が掲げるフラッグシップの元、学習指導要領の改訂やプログラミング教育の導入が着々と普及しつつある現代において、時代の先端を走り、新たなる時代を創造するトップ教育者たちは何を考え、今後の教育についてどう思いを馳せているのか。

 今回は、中2で起業、高1で母校買収した慶応生の正体 で一躍話題となり、現在は『Time Leap Academy』を立ち上げて小中高生に「自分の人生を切り開くプログラム」を提供する、仁禮彩香代表にお話を伺います。過去のインタビューでは語られない教育に対する熱い思い、女性活躍に関するご自身の体験談、Time Leap Academyの実際的なプログラムの中身など根掘り葉掘りお聞きしていきます。

Contents

⚫️ 合気道の先生、仲間との出会い

⚫️ 才能とは、差分が見えることである

⚫️ 固定的な社会をいかに変革していくか 〜起業当時を交え〜

⚫️ 自らの積極的なアクションが未来を変えた


合気道の先生、仲間との出会い

ー 仁禮さんが起業したきっかけの一つに、もともと投資家もされていた合気道の先生相談をしたところ結果的に投資をしてくれたという事があると伺っています。しかし、「お金」の部分に関しては合気道の先生の存在によって担保されていたとしても、起業後にチーム全体を引っ張る運営手法や事務関連の知識についてはどのように習得されたのでしょうか。

仁禮代表 その際は合気道の先生がメンターのような立ち位置で色々と教えてくださいました。当時の私は、数値の取り扱いや経営に関しては全くの無知でしたが、先生はそれらに関する知識を持っていて、数字の見方や経営の基礎を教えてくださいました。

ー 合気道の授業時間に起業や会社についてのお話をされていたのでしょうか。

仁禮代表 小学生の頃、合気道の授業の休憩時間に雑談のようなかたちで「起業」についてお話をしてくださった事があり、中学校に入ってからもなんとなく覚えていました。なので、起業したい!と思い始めた頃、ちょうど先生のことを思い出して連絡したという流れです。

思えば、私が起業に至る原点ともいうべき体験は、母校 湘南インターナショナルスクールでの「Kids Biz」という、子供たちが実際に架空の会社を作ってビジネスをやってみるという授業にあった気がします。自分たちで企画書を考えて、カーニバルという文化祭のようなフェスティバルで出し物をしました。自分たちで何か物を作って売ったり、サービスを考えてそれを提供したり、そのなかで、収支計画やPRの方法を学べたので、起業についてなんとなくイメージできていたのだと思います。

ー 1社目の株式会社GLOPATHを数人で起業された当初は、まだ中学生だったと思うのですが、どのように仲間・同志を集めたのでしょうか。

仁禮代表 GLOPATHは創業時の全メンバーが、湘南インターナショナルスクールの卒業生でした。同校は人数が非常に少なく、皆が兄弟のようだったので少し特殊ですが、卒業後も交流が多く、すぐに起業を実現できたという経緯です。

発足初期に外部から出資を受けた理由は、当時の私たちだけでは事務系の仕事を処理しきれなかったので、大人の人に委託したかったからです。結果的に全く知らない人をチームに入れる事にはなりましたが、面接を繰り返す中で、ファイナンスや経理についてしっかりとした知識はある上で、中学生の私たちにも対等に接してくださる方がいて、この人なら任せられるなと思って委託しました。

ー では、外注化しようと決意した時の「人探し」が、起業時に一番苦労されたポイントだと言えるのでしょうか。

仁禮代表 起業時に苦労した点としては、事務系のお仕事に関する委託先を探すことに加え、新しい活動を開始する場合には毎回アウトソーシング先を探す必要もありました。当時の私たちはいかせん信用がなかったので、一時的な連携先を探す時は本当に苦労しましたね。中学2年生で起業していますが、実際に利益が出たのは中学3年生からです。でも、実績が少しづつ出始めてからは、段々と関わってくれる人の数が増えていきましたね。

才能とは、差分が見えることである

ー 「教育」という概念についてお話を移します。あえて多面的に考察すると、教育という営為を行う側は「基本的に他者(生徒)へ貢献したい」という意欲が必要だと思うのですが、中学生という、まだ自立したと承認されない(と推測される)学齢期に、自分の欲ではなく、他者に対して貢献したいという視点が生まれたのはなぜでしょうか。さらに、中学生の頃はまだ「教育を受ける側」にもいたと思います。

仁禮代表 私は幼少期から「人」についてスゴく興味がありました。私は「才能とは、差分が見えること」だと思っています。例えば、現在TimeLeap Academyに通っている子のなかに、車や道路が大好きな子がいます。彼は、この車はどういう性能で、何年代の車なのかを言い当てることができたり、なぜこの道路はこんな風に変わったカーブをしているのか?もしかしたら、ここは昔川だったかもしれないなどと言います。でも、私からすると、そんなことは人生で一度も考えたことがなかったですし、「車は車」としか思えず、その秘められた差分が見えません。

でも、私は「人」に関しては差分が見える方だと思います。「この子は〜の才能があるな」とか「今〜につまずいているから〜を改善した方が良いかも」というように。その様な視点を幼少期から持っていたからこそ、人に貢献する「教育」という分野に出会っても居心地の悪い感じがしなかったのだと思います。

ー 納得です。仁禮さんは「点数至上主義」が蔓延る学校教育についても積極的に意見されていますが、それも学校を1つのシステムではなく、1つの「人の集合体」と捉えていたからかもしれませんね。

仁禮代表 学校は「人」がベースとなり、子どもたちが密接に関わり合い、共に育まれています。なので、点数至上主義が学校に直接影響していることは、人が好きな人間にとって非常に辛いものがあるんです。

固定的な日本社会をいかに変革していくか 〜起業当時を交え〜

ー 「人」は男性や女性、のようなカテゴリーに分化しますが、日本は未だ男尊女卑性が残る珍しい社会です。仁禮さんは、起業時や会社経営を行うなかで、性別に関して特筆して悩んだ経験はありましたか。また、起業したいという志を持つ女性に何かアドバイスがあればお聞かせください。

仁禮代表 投資家や起業家は圧倒的に男性が多い世界だと思います。そんな中で、辛いと思ったのは、例えば、資金調達をした際に「女性だから」という理由で、「どんな手を使ったの?」と聞かれたことですね。また、同世代の起業家や年上の起業家さんたちと仲が良いことに関しても、あからさまに「女性というタグをどうやって使ったの?」と言う方もいます。

実際は、沢山いらっしゃる男性起業家の方々のように王道の道を歩み、同じように挑戦してきたのに、女性というタグを「性的」に使用したのではないかと捉える人がいるのは本当に悲しいことです。

他には「後ろに男がいるんだろ?」と聞かれたこともあります。当然いませんし、腹立たしく思うこともあります。今でもたまにイベントの懇親会やSNSで出会ってしまうことがありますね。でも、一番近くにいてくれる経営者の方はそんなことは一切言いませんし、今の私の周りにはかなり少なくなりました。

これから出てくる女性起業家の皆さんには同じような経験をしてほしくないですね。私の上の世代の女性経営者の方はもっと大変だったと思います。例えば、クラウドファンディングサービス『ReadyFor』代表取締役の米良さんや、『YeLL』取締役の篠田真紀子さんなどは本当に優しく接してくださいます。彼女たちがより厳しい男性社会を戦ってくれたからこそ、現在の世代が「女性だから」という理由で受ける偏見は徐々に減っています。

私がいることによって、更に偏見が少しでも減った社会になっていったらいいなと思っています。でも、1つ忘れないでほしいことは、何でも「女性」ということばかりに目がいってしまうと、逆に「過剰な被害者意識」が生まれてしまうこともあります。もっと上にいけば、そうではない人が沢山います。なので、今そういう言葉が飛び交う環境にいるのであれば、「私の居場所はここではない」と考えて、次のステージに向かって進み続けてほしいと思います。

自らの積極的なアクションが未来を変えた

ー 周囲の方々に関して、「このラインを超えた人であれば偏見を持つ人はいないな」などの偏見・先入観に関するレイヤー構造はあったりしますか。

仁禮代表 自分も含めて、誰もが無意識のうちに偏見を持ってしまうことは往往にしてあると思っています。ただ私は現在、幸いなことに各界のトップランナーの人たちや先入観を持たずにフラットに接してくださる方々との出会いが増えました。

私は起業当時、始動直後で信用が足りないながらも、企業のCSR関連の事業を展開しようと四苦八苦していた時期がありました。その時は、色々な会社のCSR部署に企画書や依頼文を送り続けていました。今思うと仕方ないことですが、「若いから」という単純な理由で何度も断られました。でも諦めず、「社長・会長に中学生の自分がどんなことを感じ、なぜ教育事業をやりたいのか、その想いを綴った手書きの手紙を送り続ける」というアクションをとってみました。

すると、後日数社から返信が届き、実際にお会いできることになりました。その方々は「子供だから」と否定するのではなく、「熱量」に対して貢献したいと言ってくださいました。私たちも逆に子供だからこそ、教育を受けている当事者だからこその視点で価値あるモノを提供できる自信があり、プレゼンを聞いて「ウチの会社でそれやってみて良いよ」と返答をいただきました。1つ実績ができたことで、そこから信用を積み重ね、偏見を超えた先にある、心に余裕を持った大人の方々と出会えるようなっていきました。

これは、女性に対する偏見でも若さに関する偏見でも変わらないと思っています。どこかには自分のことを認めてくれる人がいると信じ、次世代の女性や若者たちには突き進んでほしいと思います。

(デザイン:射落 美生乃)
(取材:角田 雅治)


 次回のインタビューでは、仁禮代表が抱く教育への熱意、そして現在展開されている『TimeLeap Academy』の具体的な教育実践について、他メディアでは語られない部分までお聞きしていきます。

仁禮彩香 ~ Ayaka Nirei ~

・慶應義塾大学総合政策学部在学中
・TimeLeap株式会社 代表取締役

中学1年生の頃に1社目の会社を起業し、現在は教育関係事業、学生向け事業を展開中。2016年にハーバードビジネスレビューが選出する「未来を作るU-40経営者20人」に選出。現在は『TimeLeap Academy』を展開し、中高生に「自らの人生を切り拓く力」の養成を目指し奮闘中。

TimeLeap HP:timeleap.today

仁禮代表Twitter:@ayakatimeleaper

 

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